プロジェクトストーリー

夢をつないで ~オリフィスプレート移管プロジェクト~

シチズングループの事業再編に伴い自動車部品を主事業としている当社にオリフィスプレート 注1) 事業が移管されることとなった。

旧シチズンマイクロ吉見事業所からの移管プロジェクトに若手の宮澤と清水がその一員として抜擢された。
「ゴールデンウィークが明日からという日の17時に部長に呼び出され、プロジェクトの話を聞かされ、楽しいはずのゴールデンウィークが不安と憂鬱で覆われて過ぎてしまった。」と当時を振り返り宮澤が話してくれた。

 

「当時は入社2年目の新人で、配属からまだ1年経っていなかった頃です。ようやく職場にも慣れこれからと思っていた矢先に課長に呼び出されました。“清水君、おめでとう朗報だよ。”と切り出されプロジェクトの話を告げられました。」
二人の困惑をよそに移管先へ赴く準備はそれぞれ着々と進められていった。

宮澤は技術を担当することになっていた。プロジェクトに参加する段階で何も分らない状態だった。生産状況や金型について見て回わった。まずは見て回り現状を自分の知識とすることだと理解した。
 ここにある技術はシチズングループで使っている技術の塊だった。それに加えて特異な技術があった。金型の図面を見てはいたが、現物を見ることでなるほどと理解ができた。技術の担当者は自分一人だった。すべてを覚えなければとプレッシャーで眠れない日々が続いた。頑張って大丈夫だと自信が付けば踏ん切りがつくのかと思って頑張った。
 清水はオペレーターとして直接生産の責を負うことになった。最初の1週間は後ろで作業を見るように言われた。翌週からは交互に作業をする側と後ろで見る側とを繰り返しながら指導を受けた。

1カ月が経つ頃にはほぼ一人で作業が出来るまでになっていた。実は生産の苦労は河口湖に戻ってからが山場だった。

2年くらいで一人前の技術者になれる仕事と言われていた。実質1年くらいで会得してもらわなければいけない。相当の苦労を掛けるがよろしく頼むと言われていた。
 製造品質が数値で決められているところとカン・コツに頼るところがあった。生産では一つとして全く同じ現象は起きない。カン・コツには経験が必要だった。2年経ってようやく分ると言える様になった。

「表面上の作業は傍から見たら3ヶ月位の段階でマスターしていたと思います。しかし、細かいところではまだまだでした。品質の見極めがなかなか出来なかった。」 過去トラの現品サンプルや写真もあったが、その差が全く分からなかった。品質の状態は実に様々だった。

河口湖事業所に設備を移管して稼働を開始したが、移管前の状態になかなか追いつかなかった。旧シチズンマイクロ吉見事業所からも応援に来てもらっていただが首をかしげる状態だった。半分は冗談だが吉見と河口湖で気温も湿度も違うので微妙に影響しているのもしれないと話題になった。

明日出荷する製品がまだ揃っていない。夜勤の生産で不良が発生したら未納になってしまう。このような状態が続き本当に綱渡りの状態だった。技術も製造も金型メンテ部隊も一丸となって対応をし、今では作業にも慣れ何とかなるという自信もついてきた。
 「今ではそれぞれの作業者も力が付いてきている。分らない事でも互いに意見を持ち寄り対策を考える。確実に仕事の質が上がってきた。」と二人は話す。

今振り替ええると色々なことがあったが順調に移管は進んだ。メンバーのチームワークで支え合い乗り越えることが出来た。吉見の人たちとも打ち解けて進められてきた。
 移管に対して吉見のメンバーは「本音を言えば自分達の仕事を渡すのは悔しい。渡すのだったら自分たちの持っているものをすべて教えるので持って帰って河口湖でもきちんと生産をしてほしい。」と吉見の人たちの誇りと夢も受け継いできた。

清水は「今回のプロジェクトで新しいことにチャレンジさせてもらえた。怖がらずに飛び込むことが自分の力になることが分った。また、新しい事業なので問題が出たら相談をする人がいないのが辛かった。相談できる人がいないのなら自分がなるしかないと頑張っている。」
「今後はこの経験と知識をシチズンファインデバイスの成長に生かしていきたい。チャンスがあれば、この製品だけでなく別の事業でも生かしていきたい。」

宮澤は「今まではシチズンファインデバイスで基礎の出来ていたことをやっていた。今回は社内ではだれもやっていないことだったので、答えが分らないことばかりだった。そんな状況を振り返って今回の移管はすごく挑戦的な事だった思っている。恐れずにやってきたことで結果に結びついた。」

「次のチャレンジでは他の会社には作れないうちの会社だけの独自のものに挑戦をしていきたい。」
 と二人の力強い言葉に無事に移管を終えた自信とこれからの夢がみなぎっていた。

注1)ガソリンなどの燃料を霧状に噴射させる燃料噴射装置(インジェクター)の先端に取付けられているプレス部品。製品は小さな燃料噴射孔が複数あり、燃料の噴射量は孔径及び形状により決められる。